委員(写真家)

大石芳野

プロフィール

東京都出身。写真家。日本大学芸術学部写真科卒。
大学卒業後、戦争や内乱が残す不条理に傷つき苦悩しながらもたくましく生き続ける人びとの姿をカメラとペンで追う。1994年「カンボジア 苦界転生」で日本ジャーナリスト会議、日本地名研究所、芸術選奨、2001年「ベトナム凛と」で土門拳賞、長年の活動に2007年エイボン女性大賞、同年紫綬褒章などを受けた。
写真集に「パプア人」「ワニの民メラネシア芸術の人びと」「沖縄に活きる」「夜と霧は今」「HIROSHIMA 半世紀の肖像」「沖縄 若夏の記憶」「生命の木」「コソボ破壊の果てに」「アフガニスタン戦禍を生きぬく」「コソボ絶望の淵から明日へ」「子ども戦世のなかで」「〈不発弾〉と生きる 祈りを織るラオス」「黒川能の里 庄内にいだかれて」、「それでも笑みを」、近著にJCJ賞(日本ジャーナリスト会議)を受賞した「福島FUKUSHIMA土と生きる」がある。

第12期 講評

今回もまた、子どもたちから元気をもらいました。以前は色鉛筆を使う子どもが多かったように思いますが、クレヨンが増えてきました。クレパスや絵具を使う子どもも多くなり、全体的に色が鮮やかになってきています。こうした点においても変化が見られます。

選考が始まるといつもワクワクするのは、子どもたちの絵を見て文章を読むと、一言にアジアと言っても、国や地域によって文化や習慣が違うことがよく伝わってくるからです。例えば、パキスタン、フィリピン、ブータン…、それぞれの文化や風習、宗教などが違いますから、描く内容も当然、違ってきます。違いがあるからこそ、この絵日記事業には意味があり、興味深い。子どもたちの絵からは多くのことを教えられます。単一民族で構成されている国はそれほど多くないので、同じ国でも民族による文化の違いや、都市と田舎の違いも伝わってきます。ただ、こうした感想を持つ一方で、かつてとの違いも感じています。アジアの多くの国や地域が経済的に発展して都会化し、どこか似てきている。そうした変化を見て感じるのは、自然に囲まれた中で生活しているからこその豊かさについて、子どもの心のなかに沁み込ませてほしいということです。


これから絵日記を描く子どもたちには、親や先生などの目を意識せず、自分が本当に感じていることをストレートに絵と言葉で表現してほしいと願っています。自分の思いを思いっきりぶつけた作品は見る者に感動を与えるものです。周りの大人も、子どもたちの自由な発想を大切にしながら伸ばしていってもらいたいと思います。

印象に残った国:ブータン、カザフスタン、スリランカ